2020年1月21日火曜日

昔話パロ

昔々、あるところにお姫様がおったそうな。
「娘よ、お前をどこかの良い若殿様に嫁がせてやりたいもんだ。
 そのためにも花嫁修業をさせなきゃならねえ。
 そこでだ、浜の近くの尼寺に話をつけてきたで、しっかりとお勤めをしてきなさい。」
お父様もそう言うもんだし、お家のためになるならばと尼寺へと入ることになった。

尼寺でしっかりと花嫁修業を積むお姫様。そんなある日だった。
「だれか、だれか、お助けくださいまし。」
浜の方から若い娘の声がする。何かあったのかとお姫様はそちらへ向かった。
するとどうだろう、娘の姿は無かったが身なりの良い、見目麗しい男が打ち上げられていた。
お姫様は「私は嫁入り前の身、男の方にふれるのはいかがなものかと存じまする。どうか先生方、この方をお助けくださいませ。」
と尼寺の人たちにお願いして、その男を介抱してもらった。

やがて、男も体が良くなり国へと帰っていった。
花嫁修業を続けるお姫様にお父様から便りが届いた。
「お前に縁談の話が来たぞ。隣の国の殿様が、ぜひお前を若殿様に娶らせたいと言ってきた。」

立派な船に乗ってやってきたのはかつて助けた男だった。
そばには足の具合は悪そうだが品の良い侍女が控えている。
「ああ、私を助けて下さったお姫様でしたか、私はあなたのような心優しい方と結婚することができて幸いです。」
「あらまあ、何ということでしょう。」

婚礼の儀もつつがなく。
しかしその夜、ドボンと船から何かが落ちる音がした。
何でも侍女の姿が見えないらしい。足を滑らせ海へ落ちてしまったのか。
朝まで心優しい新婚夫婦は侍女を探したが、しかし水面には、ただ泡が浮かぶだけだったという。

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お姫様目線だとこういう話じゃないかしらと。
そこに悪意はないと思うんですけど。
やはり人魚姫は基本的に善良な人しかいないのに悲劇的、というのがいいですね。
原作の宗教的な救い云々のところは私には難しいのですが。

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